「太陽光パネルには、どんな種類がある?」
「素材ごとの特徴について詳しく知りたい」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
一言で「太陽光パネル」といっても、その種類は大きく分けて4つに分かれており、それぞれ設置場所や発電効率・費用なども異なります。
パネルの種類ごとの特徴や特性を把握して、ニーズに沿った太陽光パネルを設置したいところです。
そこで本記事では、太陽光パネルの基礎知識や種類、素材ごとの特徴について詳しく解説していきます。
「どのタイプの太陽光パネルを導入しようか迷っている」「耐久性に優れているパネルは?」といった疑問をお持ちの方の参考になると幸いです。
太陽光パネルの基礎知識
まずは、太陽光パネルの基礎知識について確認していきましょう。
そもそも「太陽光パネル」とは、太陽の光を「電気エネルギー」へと変換する装置のことです。
別名「太陽電池」「ソーラーパネル」とも呼ばれています。
太陽光パネルは、シリコンなどの半導体を用いて作られており、太陽光が当たることによって電流が発生する仕組みです。
ここで作られた電流が、パネルの外部回路を経由して「電力」が生成されます。
生成された電力は「直通電力(DC)」となっており、家庭で使用する場合には「交流電力(AC)」へと変換されます。この部分の変換には、インバーターという装置が使用されているのです。
太陽光パネルの種類は4つ
太陽光パネルには、大きく分けて4つの種類があります。
- シリコン系
- 化合物系
- 有機系
- 量子ドット系
この中で、もっとも多く使用されているのが「シリコン系」です。太陽光発電がスタートした当初から使われている素材となっており、現在では数多くの製品が開発されています。
「化合物系」も、近年設置数が増えてきた太陽光パネルのひとつ。シリコン以外の化合物半導体を用いて作られています。ガラスや金属などの基板に、薄膜プロセスを用いて、半導体を形成します。
有機系や量子ドット系は、開発されてからまだ日が浅いものが多く、研究段階のものも。
有機系や量子ドット系が完成した暁には、太陽光発電への注目度がさらに高まることが予想されるでしょう。
太陽光パネルの種類|素材ごとの特徴
ここからは、太陽光パネルの素材ごとの特徴について確認していきます。
シリコン系 | 単結晶シリコン |
---|---|
多結晶シリコン | |
アモルファスシリコン | |
化合物系 | CIS |
CdTe | |
有機系 | 色素増感 |
有機半導体 | |
ペロブスカイト | |
量子ドット系 |
シリコン系・化合物系・有機系は、それぞれ上記のように細かく分けられます。
素材ごとの特徴やメリットなどについて、ひとつずつ確認していきましょう。
シリコン系
一言で「シリコン系」といっても、さらに「単結晶シリコン」「多結晶シリコン」「アモルファスシリコン」に細分化されます。
単結晶シリコン
単結晶シリコンの特徴は、高い発電効率と安定性の高さから、多くの方に利用されています。
単結晶シリコンは、シリコン原子が規則正しく並んでいるため、発電効率が高いのが特徴です。見た目やデザイン性にも優れています。
寿命が長く、品質が安定している点も魅力のひとつ。
ただし、他の太陽光パネルと比べてコストがかかったり、パネルが重たかったりというデメリットもあります。
多結晶シリコン
多結晶シリコンは、複数の小さな結晶粒が、不規則に集まって構成されています。
パネルが青く見えるのが特徴となっており、単結晶シリコンを製造する過程で不要となった端材も再利用されるため、比較的安く購入できます。
発電効率は、単結晶シリコンと比較するとやや低くなりますが、耐久性や寿命は単結晶シリコンと同様に優れている点もポイント。
産業用太陽光発電などの、大規模なシステムに適した素材となっています。
アモルファスシリコン
アモルファスシリコンは、シリコン原子が不規則に結合した状態で、別名「非結質シリコン」とも呼ばれています。
非常に薄く、安価で大量に生産できることが特徴です。
太陽光パネルは夏の猛暑時に、表面温度が70℃近くに達する場合もあります。高温に弱い太陽光パネルだと、発電効率が低下してしまいますが、アモルファスシリコンは温度特性に優れているため安心です。
ただし、単結晶シリコンや多結晶シリコンと比べて変換効率が低く、寿命が短いというデメリットもあります。
アモルファスシリコンは、小さな面積(家庭用太陽光発電やソーラーカーポート)では性能を発揮しにくいため、遊休地や山林などの広大な敷地に向いていると言えるでしょう。
化合物系
化合物系には「CIS」と「CdTe」の2種類があります。
CIS
CISとは「銅(Copper)」「インジウム(Indium)」「セレン(Selenium)」の頭文字を取ったものであり、薄膜型の太陽光パネルに分類され、軽量で柔軟性に優れているのが特徴です。
光の吸収率も高く、シリコン系の太陽光パネルに匹敵するほどの光電変換効率が期待でき、さまざまな用途で使用できる点もポイント。
まだまだ研究段階の部分がありますが、上記の表からもわかるように10年までの耐久性に関しては、どの素材よりも経年劣化に強いと言えるでしょう。
CdTe
CdTe(カドミウムテルル)は、CISと同じように薄膜型であり、軽量且つ柔軟性に優れています。
薄膜型は、製造コストが簡素化できるため、コストを抑えられる点も魅力のひとつです。比較的安価で、高い発電効率を誇っています。ただし、日本ではまだ製造販売されていません。
CdTeのデメリットは、カドミウムに含まれる毒性が、製造や廃棄問題に影響を及ぼす可能性がある点です。因みに、米国のファースト・ソーラー社のパネルを購入した場合は、同社によって「回収・廃棄」が依頼できるようになっています。
有機系
有機系は「色素増感」「有機半導体」「ペロブスカイト」の3つに分類できます。
色素増感
色素増感の特徴は、製造工程が比較的容易なため、コストが抑えられます。また、見た目の美しさやデザイン性の高さも人気となっている要因のひとつ。
低温に強いため、寒冷地の太陽光発電に向いています。
しかし、高温に弱い点や耐久性の低さが課題となっているのも事実です。また、大面積には適していない点に注意しましょう。
海外では活用されていますが、日本国内においてはまだ研究段階のため、普及には至っていません。
今後、主流となり得る素材のひとつです。
有機半導体
有機半導体は、有機物を半導体として利用した太陽光パネルです。シリコン系よりも軽量で柔軟性があり、製造過程も比較的容易となっています。
有害物質を使用することが少ないため、環境への負荷が低い点もメリットのひとつ。
しかし現段階では、水分や空気に弱く、劣化しやすいことがデメリットとなっています。今後の研究開発に期待したいところです。
ペロブスカイト
ペロブスカイトとは、ペロブスカイトという結晶構造をもった材料を用いて作られている太陽光パネルです。有機系と無機のハイブリッド構造の化合物ですが「有機系」で解説します。
大規模な太陽光発電システムに適しており、薄膜で柔軟性に優れているのが特徴。また、比較的費用が安いというメリットもあります。
シリコン系と比較しても、遜色のない光電変換効率を実現できるのもポイント。
その一方で、ペロブスカイトはまだ研究段階のため、耐久性や安定性が課題です。また、大規模な太陽光発電に適してはいますが、均一性を取ることが難しいとの懸念もあります。
量子ドット系
量子ドット系は、現在研究段階とはいえ、今もっとも注目されている太陽光パネルといっても過言ではありません。
量子ドットのサイズを調整することで、太陽光の波長を自在に利用して、発電効率が向上するといわれています。
量子ドットは、非常にサイズが小さいので、効率的に光を吸収できる点が魅力。さまざまな材料を使用して量子ドットを合成できることもあり、多種多様な特性を持つ太陽光パネルを作ることができます。
ただし現在は研究段階のため、耐久性に疑問が残るだけでなく、量子ドットの合成費用が高い点もデメリットといえるでしょう。
太陽光パネルの選び方
太陽光パネルの種類を把握したところで、選び方のポイントについて解説していきます。
まずは、変換効率です。
変換効率とは、太陽の光を電気エネルギーへと変換する効率のこと。変換効率が高ければ、パネルの数が少なくても、多くの電力が発電できます。
価格も重要なポイントのひとつです。
上記でも解説したように、太陽光パネルは種類によって製造過程が煩雑でコストがかかるタイプや、比較的容易に作ることができるパネルもあります。
使用する材料によっても価格は大きく異なりますので、事前に予算を決めておくと安心です。
また、耐久性についても確認しておきましょう。
単結晶シリコンや多結晶シリコンは、耐久性や寿命の長さに定評があります。しかし近年では、シリコン系よりも耐久性に優れた「化合物系」のパネルも大きな注目を集めています。
また、設置場所を考慮して選ぶことも大切です。
価格や変換効率、耐久性ももちろん重要ですが、どこに設置するのかによっても、適したパネルが変わってきます。
例えば雪国のような寒冷地に設置する場合には、低温に強いことや、雪の重さに耐えられる耐久性も必要です。
また、夏の暑さが厳しい地域では、高温になっても発電効率が低下しないパネルを選ぶと良いでしょう。
まとめ|太陽光パネルの種類や特徴を把握しよう
本記事では、太陽光パネルの基礎知識や太陽光パネルの種類、それぞれの特徴について詳しく解説してきました。
太陽光パネルには「シリコン系」「化合物系」「有機系」「量子ドット系」の4種類があることがわかりましたね。ただし、有機系と量子ドット系に関しては、まだ開発段階のパネルも多く、今後に期待したいところです。
それぞれのパネルによって、特徴やメリット・デメリットが異なります。太陽光パネルは、設置場所や発電効率なども考慮しながら選ぶようにしましょう。
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