産業用太陽光発電の導入で、気をつけなければならないポイントのひとつに「農地トラブル」があります。
産業用太陽光発電を設置するためには、広大な土地が必要です。広い土地を確保するため、農地への設置を検討している方も多いのではないでしょうか。
農地に設置する際には、農地特有のトラブルに注意しなければなりません。
農地で発生しやすいトラブルには、どのようなことがあるのでしょうか。
事前に把握しておくことで、スムーズ且つ計画的な対応ができるはずです。
そこで本記事では、太陽光発電設置前・設置後に起こる農地トラブルや防ぐためのポイントについて詳しく解説していきます。
太陽光発電設置前の農地トラブル
太陽光発電の設置前に起こり得るトラブルには、どのようなことがあるのでしょうか。
注意すべきトラブルは、下記の2つです。
- 農地転用の審査が厳しい
- 近隣住民からの反対
ひとつずつ確認していきましょう。
農地転用の審査が厳しい
太陽光発電を設置する前のトラブルとして、農地転用の審査が厳しいことが挙げられます。
農地転用の手続きを行うためには「農地法」で定められているように、都道府県知事の許可が必須です。
審査は非常に厳しく、さまざまな角度から慎重に行われることになります。
一言で「農地」といっても、1種〜3種までに分かれており、それぞれ下記のような違いがありますので確認しておきましょう。
農地1種 | 転用が厳しく制限され、原則「農地」としての利用のみ もっとも農業利用度が高く、広大な農地 |
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農地2種 | 1種と比較すると、転用が容易である 農業利用度が、やや低くなる |
農地3種 | 農業利用度が、最も低い 転用が比較的容易となっており、都市への転用にも期待できる 「完全農転」と「一部農転」がある |
例えば農作物や周辺環境へ与える影響などに焦点が当てられます。
「土壌の劣化の恐れ」「生物の減少」、さらに「収穫量の減少」など、多くの点が審査の対象となるのです。
それだけでなく、農地購入に関しても高いハードルがあります。2024年現在、農地を購入できるのは農業法人などの「農地所有適格法人」のみ。
手続きが煩雑なだけでなく、審査の厳格性も、時間がかかる要因のひとつです。
これによって「計画していた期間内に設置できない」「希望していた農地の申請に通らなかった」などのトラブルに発展してしまう可能性もあります。
近年注目を集めている「営農型太陽光発電」では、農地上空に太陽光パネルを設置する新たな取り組みです。
農地をこれまで以上に有効活用できたり固定資産税を軽減できたりするメリットがある一方、日影が多くなってしまうことによって、農作物の成長の妨げになるデメリットも懸念されます。
近隣住民からの反対
太陽光発電設置前のトラブル2つ目は、近隣住民からの反対やクレームです。
近隣住民の理解を得ることができなければ、設置は難しくなるでしょう。
住民からの主なクレームとして、工事の騒音や景観の悪化に対するものが多く、中には「周辺の不動産価格の下落」を不安視する声も。
農地への太陽光発電設置では、近隣住民への配慮を忘れてはいけません。
計画段階からコミュニケーションを取ったり、繰り返し説明したりすることで、住民の不安も軽減できるでしょう。
太陽光発電設置後の農地トラブル
太陽光発電設置後にも、トラブルに発展してしまうケースがあります。
設置後に気をつけるべき農地トラブルは、下記の2つです。
- 太陽光パネルからの反射光による苦情
- 農作物への被害
順番に解説していきます。
太陽光パネルからの反射光による苦情
設置後のトラブル1つ目は、太陽光パネルからの反射光による苦情です。
太陽光発電のトラブルにおいて、もっとも多いのが「光害」となっています。
光害とは、太陽光パネルから反射した光が周りの住宅または施設などに差し込み、熱さや眩しさを与えてしまう現象です。
特に平坦な場所では、反射光が遠くまで届きやすくなってしまいます。
太陽光パネルを設置する角度によって、反射光の方向を調整することができますので、周辺に住宅や施設がある場合には、細心の注意を払わなければなりません。
農作物への被害
太陽光発電設置後は、農作物への被害でトラブルに発展する可能性もあります。
太陽光パネルの設置によって、農作物への日照量が減少したり、日陰を作ってしまったりする恐れも。
そのため農作物を、陽の光を必要としない陰性植物へ変更する、等の対策が必要です。
また気温が高い日には、太陽光パネルの表面温度が上昇します。これによって、周辺の気温もさらに上昇してしまい、農産物の品質が下がってしまうこともあるでしょう。
周囲の農作物の生育に被害を与えないよう、パネルの高さを調節したり、散水システムを導入したりするなどの検討をしましょう。
太陽光発電の農地トラブルを防ぐためのポイント
太陽光発電の農地トラブルを未然に防ぐためには、どのようなポイントに注意しておくべきなのでしょうか。
- 散水システムや遮断ネットの設置
- 関係者や地域住民と連携を図る
- 法規制を守る
ひとつずつ見ていきましょう。
散水システムや遮断ネットの設置
太陽光発電の農地トラブルを防ぐためのポイント1つ目は、散水システムや遮断ネットの設置です。
太陽光発電の設置によって、農作物への影響や反射光への苦情が予測できます。
散水システムは、地面の水分分布を均一にしたり、土壌の水分蒸発を防いだりする役目を果たします。
センサーと連動した「自動散水システム」によって、気候や作物の状況に合わせた水量を供給できるでしょう。
また遮断ネットの設置で、農作物の生育に重要な「日照量」を調整でき、反射光のトラブルにも未然に対応することができます。
関係者や地域住民との連携を図る
2つ目は、関係者や地域住民との連携を図ることです。
太陽光発電の設置は、関係者や地域住民から理解を得ることが必要不可欠。自治体と連携し、事前に許可を得て、スムーズに手続きを行うこともポイントになります。
連携がスムーズで、コミュニケーションが取れていると、その地域の特性を理解することができるため地域貢献にもつながるでしょう。
また2024年4月から、50kW以上の発電設備導入に際して、事前に「住民説明会」を開くことが義務化されています。50kW未満の発電設備導入に関しても、地域住民への説明を行い、理解を得ることがポイントです。
法規制を守る
法規制を守ることも、トラブルを避けるためには重要なポイントです。
法規制を守ることは、地域住民の安全を確保することにもつながります。
また、環境への負荷をできるだけ抑える役割も果たしているのです。
法規制の遵守は、事業の停止や損害賠償の発生を防ぐだけでなく社会的責任を示すことにもなり、住民からの信頼獲得にも関係してきます。長期的な視点で事業を運営していくためには、安全確保や環境への配慮を考慮し、慎重に計画を立てなければなりません。
また、各自治体で定められた、独自のルールが設けられていることもありますので、事前にしっかりと確認するようにしましょう。
まとめ|農地トラブルに発展しないよう事前の対応は慎重に行おう
本記事では、太陽光発電の設置前・設置後に起こり得る農地トラブルや、トラブルを未然に防ぐポイントについて詳しく解説してきました。
太陽光発電を農地に設置する場合には、農地転用の審査が厳しいだけでなく、そもそも農地購入のハードルが高いことがわかりましたね。太陽光パネルの反射光や、農作物の日照量の不足などにも、事前にしっかりと対応しなければなりません。
しかし、どれだけ事前に対策をしても、思わぬトラブルに発展してしまう可能性あるでしょう。
法規制を遵守し、地域住民との連携を図ることで、トラブルを最小限に抑えることができます。住民説明会を開き、理解を得る努力を続けることも重要です。
太陽光発電は、投資目的としても多くの方に活用されています。
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