産業用太陽光発電の導入を検討した際には、関連する「法規制」を知っておくことが大切です。
費用や立地・保険の加入や現地への配慮など、さまざまな点に注意すべきですが、法律についても理解しておかなければなりません。
産業用太陽光発電の導入には、どのような法規制があるのでしょうか。また、万が一違反してしまった場合の罰則についても気になるところです。
そこで本記事では、産業用太陽光発電における主な法規制を6つ紹介していきます。
「産業用太陽光発電の導入を検討している」「もし違反してしまったときの、罰則について知りたい」という方の参考になると幸いです。
産業用太陽光発電における主な法規制
産業用太陽光発電を導入する際には、主に下記の6つの法規制に注意が必要です。
- 電気事業法
- 都市計画法
- 建築基準法
- 農地法
- 消防法
- 自然環境保全法
ひとつずつ確認していきましょう。
電気事業法
そもそも電気事業法とは、電気の供給に関する事業を規制する法律となっているため、太陽光発電事業も対象となります。
電気の安定供給を確保し、消費者の安全を守るために定められた法律です。
1964年(昭和34年)に施行された法律ですが、これまでに度重なる改正が行われています。2023年の3月20日に改正が行われた際には、新たな義務が課せられました。新しく加わった制度は、下記の3つです。
- 認定高度保安実施設置者にかかる認定制度
- 小規模事業用電気工作物にかかる届出制度
- 登録適合性確認機関による事前確認制度
中でも「小規模事業用電気工作物にかかる届出制度」は、これから太陽光発電の導入を考えている方や既に導入済みの方、どちらにとっても大きな変更点といえます。
10kW以上50kW未満の太陽光発電は、これまで「一般用電気工作物」に区分されていましたが「小規模事業用電気工作物」へと名称の変更が行われました。
これまでは、小規模の太陽光発電の設置や管理において、明確なルールが存在していませんでした。「小規模事業用工作物」の制度が加わったことにより、より安全性に配慮された運用を目指すことができます。
小規模事業用工作物では、下記の3つのことが義務化されていますので注意しましょう。
- 技術基準適合維持
- 基礎情報届出制度
- 使用前自己確認制度
「技術基準適合維持」と「基礎情報届出制度」に関しましては、既設の再エネ発電施設も対象となっています。
技術基準適合維持とは、適切な管理・運用を行うために、定期点検や故障や不具合が見つかった場合の対応について定められたものです。安全に使うために、メンテナンスや点検をして、良い状態を保つよう心がけなければなりません。
基礎情報届出制度とは、10kW以上50kW未満の太陽光発電を設置した場合に、設置した設備に関する情報を国に報告するという制度です。
基礎情報の届出に必要となる内容は、下記の通りです。
設置者情報 | 事業者名 代表者名 事業所の住所 事業者の電話番号やメールアドレス等の連絡先 |
---|---|
設備情報 | 設備の名称 設置場所 設備の種類や出力に関する情報 |
保安体制に関する情報 | 点検頻度 保安管理を担当している者の氏名と連絡先 |
届出を行う際には、管轄の産業保安監督部に申請する必要があります。
これによって、2023年3月20日以降に太陽光発電の使用を開始する場合には、基礎情報の届出が必須です。
また、設備の住所や代表者・基礎情報の変更時や、太陽光発電を廃止した際にも届出なければなりません。
ただし、2023年3月以前に設置済みで、FIT認定を受けている設備に関しては「基礎情報に変更があった場合のみ」届出が必要となります。
使用前自己確認とは、太陽光発電を設置したときに、事前に「安全に発電できるか」について確認する手続きのこと。
専門業者によって確認してもらうことが一般的です。
例えば「周囲の環境や民家などに影響を及ぼさないかどうか」「国が定めたルールに基づいて設置されているのか」などについてチェックします。
万が一、届出を忘れてしまったり事実に基づいていない申請を行なったりした場合には、罰則として「30万円以下の罰金」となるケースもあるため注意しましょう。
都市計画法
太陽光発電を設置する際には、都市計画法についても注意しなければなりません。
そもそも都市計画法とは、まちづくりのルールについて定めたものです。都市の健全な発展、および秩序のある整備を図るための事項を定めた法律。
都市計画法では「都市計画区域」と「準都市計画区域」に分類されており、その区域内で開発行為を行う場合には、事前に都道府県知事の許可を得なければなりません。
ただし「太陽光発電システムの設置は、都市計画法上の「開発行為」には当たらないとされているため、基本的に「開発許可」は不要とされています。
しかし、土地の形状を大きく変えて太陽光発電システムを設置する場合には、開発許可が必要であるとみなされるケースもあるため注意しましょう。
建築基準法
建築基準法とは、建築物の敷地や構造・設備や用途に関する最低限の基準について定めた法律です。
太陽光発電システムを、屋根に設置する場合(建物と一体化するケース)には、建築基準法の規制を受けることとなります。
例えば、太陽光発電システムが強風や積雪などに耐えられるかどうか、また十分な安全性が確保されているかどうかなどについて条件を満たす必要があるのです。
故意に建築確認申請を提出しなかったり、虚偽の内容を届け出たりした場合には、1年以下の懲役や100万円以下の罰金となる可能性もあります。
農地法
農地法とは、農地の所有や利用する権利の設定、農地を農地以外のものに利用することの制限などについて定めた法律です。
太陽光発電システムの設置では、農地を農地以外のものに利用する「農地転用」について把握しておかなければなりません。農地で太陽光発電を行う場合には必ず「農地転用」を行う必要があります。
ただし、農地転用の審査は非常に厳しいのが特徴です。
そもそも「農地」には、農地転用ができないものと一定の条件を満たせば農地転用できるもの、原則として農地転用可能なものなどがあります。
周辺環境や農作物に与える影響などを考慮して分けられています。
農地を転用する場合、または農地を転用するために所有権等の権利を設定若しくは移転する場合には、都道府県知事や指定市町村(農林水産大臣が指定)の長の許可が必要となるため注意しましょう。
農地転用についての詳細は、下記の記事でまとめています。ぜひ合わせてチェックしてみてください。
消防法
消防法とは、火災の予防や災害が発生した際に、被害を軽減することが目的として定められた法律です。
太陽光発電システムは、火災や感電などの危険性と隣り合わせですので、設置する際には「防火安全対策における指導基準」を満たす必要があります。
設置場所(屋根や地上・壁面など)や発電設備の内容によって、規制が異なるため注意しなければなりません。
ただし「変電設備の設置」においては、設置届が必要となるのが一般的。
市区町村によって必要書類などが異なることもあるため、事前に所轄の消防署に確認しておくと良いでしょう。
また、蓄電池の運用に関しても、消防法を守る義務があります。蓄電池を設置するときには、安全基準を満たすようにしましょう。
自然環境保存保全法
自然環境保全法とは、日本の自然環境を守るという目的で、1973年に施行されました。
原生の状態を維持している「原生自然環境保全地域」において、立ち入りや開発などが厳しく制限されています。
太陽光発電システムの設置を行う場合、大規模な開発行為とみなされるケースも。自然環境保全法に違反すると、その土地の「自然環境回復措置」を求められる可能性があります。
それだけでなく、知らずに立ち入ったり開発したりしてしまうと、最大100万円の罰金が科せられるため注意しなければなりません。
まとめ|太陽光発電の導入には法規制の遵守が大切
本記事では、太陽光発電の導入時に覚えておきたい法規制6選について詳しく解説してきました。
太陽光発電を導入・設置するときには、さまざまな法規制を遵守する必要があることがわかりましたね。
電気事業法は、2023年に法改正が行われ、新たなルールが加わりました。特に「小規模事業用工作物」については、基礎情報の届出や使用前自己確認を行わなければならないため注意しましょう。
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