産業用太陽光発電の導入は、電気代の大幅な削減や災害時の非常電源としての活用・節税対策など、さまざまな魅力があります。
日本で初めて太陽電池が作られたのは1955年。
太陽光発電は1958年からサービスを開始し、2024年現在、既に65年以上の歳月が経過していますが、未だに普及していないのが現状です。
多くのメリットがある太陽光発電ですが、なぜ普及しないのでしょうか。
そこで本記事では、産業用太陽光発電が普及しない5つの理由と、効果的な解決策について詳しく解説していきます。
「太陽光発電を導入しようか検討している」「普及しない理由について、事前に把握しておきたい」という方の参考になると幸いです。
太陽光発電が普及しない5つの理由とは?
太陽光発電が、未だ普及していない理由には、大きく分けて下記の5つがあります。
- 普及当初から費用は下がったものの依然ハードルが高い
- 利益が出るまでに時間がかかる
- 自然災害に弱くリスクが大きい
- 売電価格の低下
- 設置スペースの確保が難しい
ひとつずつ確認していきましょう。
普及当初から初期費用は下がったものの依然ハードルが高い
産業用太陽光発電が普及しない理由の1つ目は、初期費用は下がったものの、依然としてハードルが高い点です。
経済産業省「調達価格等算定委員会」の調査によると、今から10年前の2013年、産業用太陽光発電を地上に設置する際の導入費用の相場は「371,000円/kW」でした。
そして2023年の費用相場は「280,000円/kW」まで下がっています。
導入する太陽光発電の規模ごとに必要となる費用相場は下記の通りです。
<産業用太陽光発電を地上に設置する場合の費用相場>
2013年 | 2023年 | |
---|---|---|
10kW | 3,710,000円 | 2,800,000円 |
50kW | 18,550,000円 | 14,000,000円 |
100kW | 37,100,000円 | 28,000,000円 |
上記の表を見るとわかるように導入コストが下がっているのは事実ですが、100kWの太陽光発電システムの導入には、現在でも約28,000,000円の費用がかかります。
かなりまとまった費用を準備しなければなりませんので、依然として導入へのハードルは高く、全企業・世帯には普及していないことも頷けるでしょう。
産業用太陽光発電の設置費用について、さらに詳しい内容が知りたい方は、下記のリンクからチェックできます。ぜひ参考にしてください。
利益が出るまでに時間がかかる
太陽光発電が普及しない理由の2つ目は、利益が出るまでに時間がかかってしまうことです。
上記でも触れたように、まとまった初期費用がかかるだけでなく、継続的な維持費も発生します。
売電を開始させることで比較的早く収益化につなげることは可能ですが、初期費用等を回収するまでの期間は、おおよそ10年~15年かかるのが一般的。
もちろん、導入にかかった費用や発電量・設置場所などによって異なりますが、長期的な視点を持たなければならないのは確かです。
自然災害に弱くリスクが大きい
太陽光発電が普及しない理由の3つ目は、自然災害に弱くリスクが大きい点です。
太陽光発電は屋外に設置されているため、自然災害に対する脆弱性が指摘されています。
台風や強風などによって「パネルの破損」「架台が倒れる」「配線系統が損傷する」などの被害を受けることや、地震の際には「津波発生による設備の浸水」「地盤の緩みによる傾斜」「パネル落下」の可能性も。
それだけでなく、落雷で火災が発生するケースがあったり、雪の降る地域では「雪崩」によって設備が埋もれたりすることも珍しくありません。
売電価格の低下
売電価格の低下も、太陽光発電が普及しない理由のひとつです。
FIT制度(固定価格買取制度)の買取価格は、スタート当初(2012年)「40円+税」となっていましたが、2023年には「10円+税」まで下がっています。
また、FIT制度の買取期間は「20年間」(出力が10kW未満の住宅用太陽光発電の場合は10年間)となっていますので、期間終了後の買取価格についても不安が残るかもしれません。
年々下がり続けている売電価格を見ると、投資計画の目処が立ちにくく、躊躇してしまう企業も多いでしょう。
設置スペースの確保が難しい
産業用太陽光発電では、設置スペースの確保が非常に重要なポイントとなります。
広大な土地が必要となるのはもちろんですが、併せて「日当たりの良い場所」を確保しなければなりません。
それ以外にも、土地の形状にも注意しなければなりませんし、周囲に建物や樹木などの「日光を遮る障害物がない土地」を選ぶ必要があります。
広大なスペースを確保するだけでも困難な上に、発電量を最大化するため、さまざまな基準をクリアできる土地を見つけなければなりません。
産業用太陽光発電の普及につながる効果的な対策
ここからは、産業用太陽光発電の普及につながる効果的な解決策について解説していきます。
- 初期費用ゼロのPPAモデルを活用
- 節税対策につながる
- 損害保険への加入で対策
- 電力会社からの買取単価は上昇している
- 土地付きタイプの太陽光発電購入で対応可能
順番に確認していきましょう。
初期費用ゼロのPPAモデルを活用
初期費用の問題を解決してくれる方法のひとつに「PPAモデルの活用」があります。
そもそも「PPAモデル」とは、どのようなものなのでしょうか。
日本語で「電力販売契約」という意味となっており、別名「第三者所有モデル」とも呼ばれています。
PPA事業者が、需要家(主に企業)の敷地内または所有地に太陽光発電設備を設置し、需要家が発電した電気の「維持・管理」を行う仕組みです。需要家はPPA事業者に対して、月々のリース料を支払います。
これによって、企業が自ら設備投資を行う必要がなくなり、初期費用ゼロで太陽光発電設備の導入が可能となるのです。
PPAモデルの導入が対象となる「補助金制度」もあるため、併せてチェックしておくのがおすすめ。詳細につきましては、下記のリンクから確認できます。
節税対策につながる
太陽光発電は、利益が出るまでに時間がかかりますが、節税対策の効果が期待できます。
太陽光発電の導入で期待できる主な節税効果は、下記の2つです。
- 法人税の負担軽減
- 固定資産税が軽減される
1つ目は、法人税の負担軽減です。太陽光発電は「固定資産」となるため、減価償却費として費用の計上ができます。
2つ目は、固定資産税が軽減されることです。
通常、太陽光発電を設置した場合、固定資産税が発生します。
しかし、産業用太陽光発電の特例措置として、設置から3年間「固定資産税が2/3」まで軽減されるのです。
また、利益が出るまでの期間を早める方法として、土地付きタイプの太陽光発電の購入もおすすめ。
中古物件を購入することで、設備投資にかかる費用を抑えることができます。
土地と設備がセットになっている中古物件を購入できれば、比較的早く収益化することができ、利益が出るまでの期間を早める可能性もあるでしょう。
③損害保険への加入で対策
自然災害のリスクには、損害保険の加入で対応することができます。
例えば、地震や台風などでシステムが破損してしまった場合、修理に必要となる費用は非常に高額になる可能性も。
それだけでなく、長期間使用ができなくなるため、発電収入に大きな影響を与えてしまいます。
損害保険に加入することで、自然災害によって被った損害が保証されるのはもちろん、万が一パネルや架台を盗難された場合も対応してもらえる保険もあるので安心です。
補償内容や保険料は、それぞれの損害保険によって異なりますので、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。
④電力会社からの買取単価は上昇している
FITの売電価格が年々低下する一方で、電力会社からの買取単価は上昇傾向にあるのが現状です。
そこで注目したいのが「FIP制度」。
「FIP制度」とは「Feed In Premium(フィードインプレミアム)」を略した言葉となっており、再生可能エネルギーで発電した電気を売電した際に「売電収入」だけでなく「補助金(プレミアム)」が上乗せされて支払われます。
FIT制度が「固定価格での買取」であることに対し、FIP単価は「市場に連動して変動する」点が、大きな違いといえるでしょう。
買電単価が上昇している背景には「脱炭素化の加速」や「化石燃料価格の高騰」が挙げられます。
日本だけでなく、世界的に「脱炭素化」が加速しており、再生可能エネルギーへの転換が求められています。
FIP制度では毎月売電価格が見直されるため、市場の変化に合わせて、柔軟な売電戦略を練ることができます。また蓄電池と併用し、売電のタイミングを調整することで、収益を拡大させられる可能性も。
売電先が制限されていたFIT制度に対し、FIP制度は自由に売電先が選べるため、選択肢も広がります。
また、化石燃料価格の高騰で、電力会社による積極的な再生可能エネルギー調達が行われていることも追い風となるでしょう。
⑤土地付きタイプの太陽光発電購入で対応可能
産業用太陽光発電の設置スペースの確保が難しい場合には、土地付きタイプの中古物件を探すことで対応できます。
広大な土地を探す手間が省け、煩雑な手続きなども簡略化することが可能です。
既に稼働している太陽光発電を購入することになるため、過去の発電量のデータが揃っていることも大きな魅力。
問題点があれば、事前に対策を練ることができます。
まとめ|産業用太陽光発電の問題点は解決できる
本記事では、産業用太陽光発電が普及しない理由と、普及するための解決策について詳しく解説してきました。
普及しない主な理由には、初期費用のハードルの高さや売電価格の低下、自然災害リスクなどがありましたね。
しかしPPAの活用や電力会社からの買電単価の上昇、損害保険への加入など、それぞれのリスクに効果的な解決方法があります。
これまで「太陽光発電の導入には不安がある」と躊躇していた方も、解決策を取り入れることで、安心して太陽光発電を検討できるはずです。
太陽光発電は、投資目的としても、多くの方に活用されています。
長期的な資産運用のひとつとして、太陽光発電を取り入れてみるのはいかがでしょうか。
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最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。