太陽光発電に蓄電池は必要?種類とメリット・デメリットを解説

太陽光発電 蓄電池

太陽光発電を新規に導入しようとしている方、あるいはすでに導入している方で、蓄電池の購入を迷っている方は多いのではないでしょうか。

その理由は、おそらくコスト面への懸念と思われます。

しかし、国や自治体からの補助もあり、むしろ蓄電池のない損失の方が大きな負担ともなりかねません。

ここでは、太陽光発電における蓄電池の必要性を説き、素材別・用途別の種類とメリット・デメリットを解説します。

本記事を読むと、太陽光発電における蓄電池への理解が深まるでしょう。

目次

太陽光発電に蓄電池は必要か

結論として、太陽光発電には蓄電池があった方がよいでしょう。

なぜなら、太陽光発電は太陽の出ていない時間には発電できないからです。

蓄電池は、太陽光で発電できない時間帯にも電気を使えるように貯めておくことができます。

太陽の傾き始めた夕方から夜間にかけては、照明が点灯され夕飯の支度など、もっとも電気を使う時間帯です。

蓄電池を備えていたら、その時間に使う電気も問題なく使えるでしょう。

万一の停電の際にも安心です。

もはや、太陽光発電に蓄電池は必須といっても過言ではありません。

太陽光発電|蓄電池の素材による種類

太陽光発電で用いられる蓄電池は、素材によって下記のような種類があります。

  • 鉛蓄電池
  • ニッケル水素蓄電池
  • リチウムイオン蓄電池
  • NAS蓄電池

それぞれの概要と特徴を解説します。

鉛蓄電池

鉛蓄電池は古くから自動車などに使われているバッテリーです。

正極(+)に二酸化鉛、負極(-)に鉛を使い、希硫酸という電気を通しやすい液体との化学反応により充放電を行います。

安価に製造できて寿命が長い点が特徴で、自動車や産業機械、産業用の非常電源など幅広く使われています。

ちなみに鉛蓄電池の1kW当たりの導入費用は15万円ほどです。

ニッケル水素蓄電池

ニッケル水素電池は正極(+)にニッケル酸化化合物を用い、負極(-)に水素化合物を用いた蓄電池です。

電解液として濃水酸化カリウム水溶液 などのアルカリ溶液を用い、充放電を繰り返します。

長時間の充放電に強く、電気自動車のバッテリーや人工衛星、宇宙探査機などに使われています。

身近な商品例としては、パナソニックのエネループなどが有名です。

ニッケル水素蓄電池の導入費用は1kWあたり10万円程度といわれています。

リチウムイオン蓄電池

リチウムイオン電池は、リチウムイオンが正極(+)と負極(-)の間を行き来することで充放電を繰り返す蓄電池です。

用いられる材料はメーカーや用途によって異なりますが、主に正極(+)はリチウム遷移金属複合酸化物、負極(-)に炭素材料を用い、電解質は有機溶媒などが使われています。

自己放電が少なく寿命が長い点が特徴で、スマホや電気自動車など近年のニーズに幅広く対応している蓄電池です。

リチウムイオン蓄電池の導入の目安単価は1kWあたり約20万円といわれています。

NAS蓄電池

NAS蓄電池は正極(+)に硫黄、負極(-)にナトリウム、電解質としてファインセラミックスを用い、硫黄とナトリウムの化学反応により充放電を繰り返す蓄電池です。

メガワット級の大容量と高出力、そして15年もしくは4,500サイクル、20年間もしくは7,300サイクルという長寿命を特徴としています。

鉛蓄電池の3分の1ほどのサイズで、長期間安定した電力供給が可能です。

開発されて間もないため長期的なデータは不足していますが、産業用蓄電池としてニーズが高まっています。

NAS蓄電池は他の蓄電池より少し高めで、導入費用は1kWあたり約24万円です。

太陽光発電|蓄電池の目的・容量による分類

太陽光発電における蓄電池は、目的と容量によって大まかに3つに区分されます。

  • 家庭用蓄電池
  • 産業用蓄電池
  • 系統用蓄電池

それぞれについて解説します。

家庭用蓄電池

家庭用蓄電池の容量は、5〜7kWhが主流です。

ただし、家庭用の太陽光発電の発電量と使う電力量に応じて2kWhから大容量の16.6kWhまでさまざまな種類が用いられています。

主に夜間や停電時の自家消費の為の電気を蓄電します。

産業用蓄電池

産業用蓄電池は、主に10kW以上の産業用太陽光発電、もしくは投資型太陽光発電に用いられる蓄電池です。

したがって、蓄電池としての容量も10kWh以上となりますが、この数値が家庭用蓄電池との明確な区分というわけではありません。

なぜなら家庭用蓄電池にも10kWhを超えるものがあるからです。

ほとんどの場合、家庭用蓄電池より大容量となりますが、明確に区分できるとすれば使用目的でしょう。

家庭用蓄電池が自家消費を主目的とすることに対し、産業用蓄電池は非常時のバックアップ電源としての役割が目的となります。

もちろん自家消費もしますが、企業や公共施設・病院などで、非常時にも稼働させなければならない機器への対応が優先されます。

なお、20kWhを超える蓄電システムの設置には消防署への届出が必要です。

系統用蓄電池

系統用蓄電池とは、電力系統(電力会社から事業所や家庭へ電気を送る送配電網)に直接接続された大容量の蓄電池を指します。

大型で大容量な点では産業用蓄電池と同じであり、同義語として用いられる場合が少なくありません。

しかし、電力系統に直接接続しているかいないかで明確な区分が可能です。

一般的にいわれている産業用蓄電池よりさらに大容量となるケースが多く、産業用蓄電池の一種として分類されることもあります。

系統用蓄電池は、太陽光発電の安定した電力供給と電力需要がピークに達したときの放電による需要バランスの調整が主な目的です。

太陽光発電における蓄電池のメリット

蓄電池は太陽光発電より遅れて市販されたため、今一つ普及していないのが現状です。

しかし、非常用電源や高騰する電気代対策として、誰もが必要性を感じているのではないでしょうか。

ここでは、蓄電池のメリットとして以下の3点を紹介します。

太陽光発電における蓄電池のメリット
  • 発電した電力を最大限活用できる
  • 災害による停電時も安心
  • 環境負荷の低減

ひとつずつ解説していきます。

発電した電力を最大限活用できる

蓄電池を導入すると、太陽光発電で発電された電力を最大限活用できます。

たとえば、太陽光発電による発電量がパワーコンディショナーの容量を超えてしまう場合、あるいは電力会社による出力抑制の際には無駄に放電しなければなりません。

しかし蓄電池があると余った電気を蓄電し、必要に応じて自家消費することができます。

特に電力需要のピークタイムには電気料金も高額となるため、ピークシフトやピークカットによる自在な電力使用は大幅な電気代削減効果があります。

災害による停電時も安心

蓄電池は、災害による停電の際に非常用電源として使えるメリットがあります。

自然災害が増えてきた昨今では心強い限りです。

たとえ使い切ったとしても、翌日太陽が出ればまた発電できるため、長期の停電にも対応できます。

近年の蓄電池には、気象情報を予測し、自然災害による停電に備えて自動で蓄電する機能が搭載されている機種もあります。

産業用蓄電池(系統用蓄電池を含む)の場合、公共施設や病院・福祉施設、あるいは避難所への電力供給も可能です。

企業においては災害時の安定運営を可能にするBCP(事業継続計画)対策となり、顧客への信頼度も増すでしょう。

環境負荷の低減

SDGsやカーボンニュートラルが叫ばれる中、地球環境への配慮が日常の隅々にまで意識されるようになりました。

環境負荷の低減のために、太陽光発電を始めとする再生可能エネルギーの普及が進んだのは周知の事実。

その太陽光発電の発電力を最大限に活用できるのが蓄電池です。

いっそうの環境負荷の低減が期待できるでしょう。

企業の場合、太陽光発電と蓄電池との併用はSDGsの一環として評価され、ESG投資の対象ともなり得ます。

蓄電池と太陽光発電との併用は、目先の利益だけでない大きな効果をもたらします。

太陽光発電における蓄電池のデメリット

太陽光発電における蓄電池の主なデメリットは以下の2点です。

太陽光発電における蓄電池のデメリット
  • 設置スペースが必要
  • 導入コストが高額

それぞれについて解説します。

設置スペースが必要

蓄電池のサイズはメーカーや容量によってさまざまですが、見た目以上に重量もあり、設置する際には十分なスペースとしっかりとした土台が必要になります。

下記は、ある家庭用蓄電池のサイズです。

W(幅) 1060 × H(高さ) 1250 × D(奥行) 300 mm

このサイズに対し、重量は257kgとなります。

サイズだけならどこにでも置けそうですが、屋内の場合257kgを支えられる床面であるかどうかが重要です。

産業用蓄電池がさらなるスペースを必要するのはいうまでもありません。

縦横高さがそれぞれ2mほどにもなるため面積はもちろん、高出力に耐えられるよう比較的涼しく風通しのいい場所への設置が必要になります。

導入コストが高額

蓄電池の導入には本体の購入価格に電気工事などの設置工事費用が加算され、家庭用でおよそ100万円〜200万円、産業用は1,000万円以上ともいわれています。

さらに太陽光発電システムのパワーコンディショナの交換やハイブリッド型の蓄電システムを採用するケースでは、さらにコストが増えるでしょう。

ちなみに資源エネルギー庁は、蓄電池の導入費用として下記のような目標値を設定しています。

2019年度2030年度
家庭用蓄電池価格目標9万円/kWh
価格目標(工事費込み)18.7万円/kWh7万円/kWh
産業用蓄電池価格目標15万円/kWh
価格目標(工事費込み)24.2万円/kWh6万円/kWh

物価高騰が進む中、現実的にどうなのかわかりませんが、目標通りになるとかなりの費用削減が期待できます。

蓄電池の導入コストへの支援

政府は2050年のカーボンニュートラルに向けて、再生可能エネルギーの総合的な導入数増加への支援を打ち出しています。

蓄電池の導入費用が下落傾向にあるのはその一環であり、2021年から「戸建住宅ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)化等支援事業」を2021年からスタート。

2022年度には65.5億円の予算を投じています。

同じく2021年にスタートした「地域レジリエンス・脱炭素化を同時実現する公共施設への自立・分散型エネルギー設備等導入推進事業」は災害対策としての電源確保を主な目的とし、系統用蓄電池などが該当します。

また、自治体による補助事業も活発です。

東京都では、蓄電池の導入に、下記のような設定での補助事業を展開しています。

  • 6.34kWh未満の蓄電地1kWhあたり19万円(最大95万円)
  • 6.34kWh以上100kWh未満の蓄電地1kWhあたり15万円   

この他、県や市町村単位での補助事業も目白押しです。

お住まいの地域で、ぜひ問い合わせてみてください。

【まとめ】太陽光発電は時代のニーズ|蓄電池をうまく活用しよう

もはや時代のニーズといっても過言ではないくらい、太陽光発電普及の声が高まっています。

背景にあるのは脱炭素社会に向けた国や自治体の取り組み、そして電気代の高騰などです。

特に電気代の高騰は切実な問題として庶民の生活や企業運営を圧迫しました。

政府による負担軽減の打ち切りを機に、太陽光発電の導入に踏み切った方は多かったことでしょう。

太陽光発電と蓄電池で大幅な電気代削減が可能になります。

一度導入したら、FIT期間を終えても有効活用できる点も魅力です。

太陽光発電は投資品目としても注目度が高いため、売電先の切り替えや発電システムの売買も選択肢の一つとなるでしょう。

BMF(ブルーモーニングフィナンシャル株式会社)は金融のプロフェッショナルとして、太陽光発電所を金融的側面から客観的に評価します。

富裕層投資家や多様な事業所とのつながりが広く、これまで太陽光発電に関する多数の仲介を成功させてきました。

太陽光発電の売却をお考えの方、導入にあたって初期費用を抑えたい方は、お気軽にBMF(ブルーモーニングフィナンシャル株式会社)へご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。

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