ファミリーオフィスの目的とは?存在意義とファミリービジネスにおける役割

ファミリーオフィスの目的

日本ではなかなか普及の進まないファミリーオフィスですが、「ファミリーオフィス」という名称は、2021年の「アルケゴス・ショック」によって一定の知名度は得ました。

日本の長寿企業(100年以上続いている会社)の90%が一族によるファミリービジネスという日本の現状からすると、歴史を守るといった観点や事業承継・一族の反映には、ファミリーオフィスが欠かせません。

ここでは、ファミリーオフィスの明確な目的と存在意義について解説します。

ファミリービジネスにおける役割と関係性についてもポイント解説しているので、ファミリーオフィスの概要が理解できます。

ファミリーオフィスに興味のある方、導入を検討されている方はぜひ、お付き合いください。

目次

ファミリーオフィスの目的とは

ファミリーオフィスの目的とは、一族内で保有する有形・無形資産の管理・運用を通じて資産や事業の長期にわたる保全と成長を促進することです。

ファミリーオフィスは、一定以上の資産を持つ富裕層やファミリービジネスを対象に、有形・無形の資産や財産の管理および運用を専門的に行います。

ファミリーオフィスが機能すると、一族の社会的貢献度や地位・名声など一族だけでは対応が困難だった無形資産の向上が可能となり、一族のトータルな成長が見込まれます。

ファミリーオフィスの存在意義

ファミリーオフィスの存在意義は、無形資産の管理と運用です。

資産管理会社やプライベートバンクなど、富裕層を対象とした資産運用の組織は多々ありますが、無形資産の管理・運用を主業務の一つとするのはファミリーオフィスのみです。

無形資産を組織で扱うことは容易ではなく、ましてや価値の向上を行うことは不可能といわれていた時代もありました。

しかし、多方面に長けた専門家集団として、扱いの難しい無形資産の価値向上を目指します。

昨今ではSDGsや脱炭素化が叫ばれ、環境に配慮した取り組みや社会貢献が事業運営に反映される時代です。

ファミリーオフィスの存在感が高まっています。

ファミリーオフィスは一族全体の組織

まずは、一族全体の組織であり続けることが重要です。

一族それぞれ固有の事情に配慮したうえで、一族の全員が足並みを揃えられるよう適切な体制を整えます。

なぜなら、一族の事業の持続的成長のための言動が、一族全員で一致していなければ経営活動が困難となり、社会的価値の強化も望めないからです。

一族の一人、もしくは数人だけが大きな発言力を持つ場合、独断執行されないよう経営の暴走や私物化を抑制するシステムを作成します。

ファミリーオフィスは、常に一族全体を意識して永続的な繁栄に貢献する組織です。

ファミリーオフィスが管理する資産

ファミリーオフィスが管理する資産は、不動産や有価証券・宝飾品などの有形資産だけに留まらず社会的名声などの無形資産も含まれます。

つまり、ファミリーオフィスが管理・運用するのは広い意味での資産です。

ここでは一族の有形資産・無形資産について詳しく解説します。

有形資産

有形資産とは、企業やファミリーが長期にわたって所有または利用する資産であり、一般的には目に見える資産すべてを指します。

具体例として挙げられるのは現金預金・有価証券、あるいは土地や建物などの不動産です。

管理対象としては、一族の運営する事業そのものも有形資産の一つに数えられます。

無形資産

無形資産とは、その名の通り形のない資産であり、一族の永続的な繁栄に欠かせない目に見えない価値あるものをいいます。

たとえば、創業者の哲学や一族の共通価値観・使命・ビジョンなど、また一族の絆や培ってきた経験・人脈などです。

これらの無形資産が継承されることで、一族の社会的地位や名声が不動のものとなります。

こうした無形資産を次世代へ引き継ぐためには、明確な仕組みが必要でしょう。

その役割を担うのがファミリーオフィスです。

ファミリービジネスにおけるファミリーオフィスの役割

ファミリービジネスには、下記のような特徴があります

  • 創業者一族が経営に参画している
  • 経営権がなくとも、創業一族が個人株主として相応の株式数を保有している

日本の企業の90%以上がファミリービジネスといわれています。

そのファミリービジネスと関係の深い組織がファミリーオフィスです。

日本での普及は遅れていますが、世界ではファミリーオフィスあってこそのファミリービジネスといわれるほど深い絆で結ばれています。

ここでは、ファミリービジネスにおけるファミリーオフィスの役割を紹介します。

ファミリービジネスにおけるファミリーオフィスの役割
  • 事業承継プロセスへの関与
  • コーポレートガバナンスの強化
  • ファミリービジネスによる社会貢献活動の企画・運営

それぞれについて解説します。

事業承継プロセスへの関与

ファミリーオフィスがファミリービジネスに向けた役割には、事業承継プロセスへの関与が挙げられます。

ファミリーオフィスは、一族とその一族の事業であるファミリービジネスを長きにわたって成長させることも、大きな役割のひとつ。事業承継を成功させることは、一族の永続的な繁栄に非常に重要な意味を持ちます。

ファミリーオフィスの専門家集団が、長期的な視点を持って、事業承継の計画を立案します。

後継者の育成はもちろん、M&Aや事業の売却なども視野に入れ、状況に適したアドバイスが行われるでしょう。

コーポレートガバナンスの強化

2つ目は、コーポレートガバナンスの強化です。

ファミリービジネスにおいて、「次世代へ事業承継を行うまでに経営者が長期にわたって指揮を執る」、「経営者に権力が集中し、長期間単独で経営判断を行う」など、コーポレートガバナンスの強化が大きな課題となっているケースも少なくありません。

ファミリーオフィスが担う役割は、内部統制システムを構築し不正・リスクを防いだり、ステークホルダーとの関係性を構築し社会的信用を高めたりします。

また、定期的な情報開示で企業の透明性を高めることや、取締役会評価制度を導入し改善点を見出すこともファミリーオフィスの役割です。

ファミリービジネスによる社会貢献活動の企画・運営

3つ目の役割は、ファミリービジネスによる社会貢献活動の企画・運営です。

社会貢献活動に注力することで、企業だけでなく一族のイメージが向上するのはもちろん、ステークホルダーからの信頼感も高まります。従業員のモチベーションにも、大きく関わってくるでしょう。

ファミリーオフィスは、一族の事業内容や価値観を踏まえた上で、社会貢献活動の企画を立てたり資金調達の方法を提案したりします。

また、NPOやNGOなどと連携を取り、活動の効率化を図ることも欠かしません。

具体的な活動の例を挙げると、ボランティア活動への参加や奨学金制度の設立・環境保護団体への寄付などがあります。

【まとめ】ファミリーオフィスの目的は一族の永続的な繁栄

ファミリーオフィスは、一族や一族の運営するファミリービジネスの永続的な繁栄を目的とした組織です。

それがファミリーオフィス自体の永続的な繁栄にも繋がるのはいうまでもありません。

社会貢献も資産とする富裕層と、互いに不可欠の存在として共存していくことは社会全体を活性化し発展させます。

これ以上ない関係性といえるでしょう。

2024年現在の日本での普及は今一つですが、ファミリービジネスの多い日本での市場拡大は時間の問題といわれています。

ファミリーオフィスの導入をご検討の方、あるいは職業としてのファミリーオフィスに興味のある方は、ぜひBMF(ブルーモーニングフィナンシャル株式会社)へご相談ください。

最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。

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