「M&Aを行う上で、エグゼキューションにはどのような意味がある?」「エグゼキューションとオリジネーションの違いは?」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
M&Aの流れは、主に「オリジネーション」「エグゼキューション」の2つに分かれており、エグゼキューションは「交渉」や「クロージング」などのプロセスを指しています。
エグゼキューションは、M&Aを成功に導くための重要な役割を果たすものです。
本記事では、エグゼキューションの意味やオリジネーションとの違い、一連の流れなどについて詳しく解説していきます。
M&Aでのエグゼキューション
エグゼキューションは、日本語では「実行」「実施」を指した言葉です。M&Aにおけるエグゼキューションの意味や、オリジネーションとの違いについて確認していきましょう。
エグゼキューションとは?
M&Aにおけるエグゼキューションとは「交渉」から「契約締結」、「クロージング」までの、一連のプロセスを指した言葉です。
エグゼキューションのプロセスには、バリュエーションや基本合意書の締結・デューデリジェンスなど、さまざまな内容が含まれています。M&A成功への重要な要素が組み込まれており、エグゼキューションが上手くいけば、M&Aの成功率も高くなるでしょう。
エグゼキューションとオリジネーションの違い
エグゼキューションと似た言葉に、オリジネーションがあります。
オリジネーションとは、M&Aの手続きにおける「前半部分」を表した言葉です。
エグゼキューションが「交渉」から「契約締結」、「クロージング」などのプロセスなのに対し、オリジネーションは「案件の発掘」や「マッチング」を指しています。
エグゼキューションとオリジネーションの違いは、M&Aにおける「段階の違い」です。
オリジネーションは、適切なパートナーを見つける準備段階となります。その一方エグゼキューションは、オリジネーションで見つけたパートナーとの交渉から契約を結ぶまでの実行段階です。
切り離して考えるのではなく、オリジネーションで適切な相手を見つけることが、エグゼキューションの成功につながるでしょう。
上記の表の右端に「PMI」という段階があります。PMIとは、ポスト・マージャー・インテグレーションを略した言葉で、統合効果を最大限に発揮するための「統合プロセス」を指した言葉です。
PMIは、経営統合・業務統合・意識統合の3段階で構成されています。M&Aを真の成功に導くために、欠かせないプロセスのひとつです。
M&Aにおけるエグゼキューションの重要性とは?
M&Aにおいて、エグゼキューションは非常に重要なフェーズです。
目標達成に向けた、具体的な計画や行動が求められるプロセスですので、多くの時間を要することになります。
上記の表に書かれている、エグゼキューションのひとつひとつの業務の中にも、売り手側と買い手側の「双方の疑問・不安」や「双方の主張・要望」が散りばめられています。
その疑問や不安を解消し、主張・要望を擦り合わせながら業務を進めることが、M&Aの成約につながる為、エグゼキューションは非常に重要な業務となるのです。
会社を売買する「値段交渉」が行われたり、どのようなシナジー効果が生まれたりするのかなど企業の今後を大きく左右する重要なものとなるため、現実的な目標を立てるようにしましょう。
M&Aにおけるエグゼキューションの流れ
ここからは、M&Aにおけるエグゼキューションの流れについて確認していきます。
- M&Aストラクチャーの検討
- バリュエーション
- 交渉
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンスの実施
- 最終交渉および最終契約
- クロージング
順番に見ていきましょう。
M&Aストラクチャーの検討
まずは、M&Aストラクチャーの検討を行います。M&Aのストラクチャーには、株式譲渡や事業譲渡、合併や会社分割などさまざま。
それぞれのM&Aにおいて、目的や目標は異なるため、選択すべきストラクチャーも違ってきます。
売り手側、買い手側双方で話し合いを重ねましょう。
ただし交渉中に、ストラクチャーの変更をしなければならないケースもあるため、柔軟な対応が必要です。
バリュエーション
バリュエーションとは、企業価値算定のことです。M&Aで、どのくらいの資金が必要になるかを把握するプロセスとなるため、一般的には「買い手側の企業」が実施します。
ただし、売り手側の企業も、あらかじめ自社にどれくらいの価値があるのかについて知っておく必要があります。
自社の企業価値を把握しておけば、価格交渉の際に、強い根拠を示すことが可能です。
バリュエーションは、財務情報だけでなく、将来性や知名度といった要素も加味された金額となります。
交渉
バリュエーションの後は、交渉に移ります。
交渉は、エグゼキューションの中でも重要なポイントのひとつ。一般的には、双方の企業の経営者が、それぞれの疑問点やおおまかな価格などを確認しながら話し合いが行われます。
経営者同士の面談が終わった後、それぞれの実務担当者によって、役員や従業員の待遇・取引先との取引継続などの交渉を行うのが一般的です。売り手側は、従業員の雇用継続を必須とするケースが多くなります。
交渉では、お互いの人間性なども観察しなければなりません。また、経営理念に共感できるかも重要なポイントです。双方の信頼関係を築き、長期的な関係へと発展させるためのプロセスとなるでしょう。
基本合意書の締結
4つ目の手続きは、基本合意書の締結です。
売り手側・買い手側の企業それぞれが納得し、それぞれ条件について合意が得られた場合は、基本合意書の締結が行われます。
基本合意書の締結は必須ではありません。
しかし、重要な項目である「独占交渉権」や「秘密保持義務」を盛り込み、その2点について法的拘束力を付与させる目的で基本合意書を締結することが一般的となっています。
デューデリジェンスの実施
基本合意書が締結されたら、デューデリジェンスを実施します。
デューデリジェンスにおける調査範囲は「財務」「法務」「人事」など多方面にわたるため、専門性の高い業務といえます。したがって、弁護士や会計士などの専門家に依頼するのが一般的。
調査によって、簿外債務や、売り手自身が認識していない問題点など、財務・法務・労務にかかるリスクの有無を把握することができます。
買収後にそれらのリスクが発覚することを防ぐのがデューデリジェンスの役割となっており、買収時のリスクを最小限に抑えることができるのです。
最終交渉および最終契約
デューデリジェンスで得た結果を基に元に、最終交渉を行なった後、合意を得られた場合には「最終契約書」の締結を行います。
しかし、デューデリジェンスで問題が発覚する可能性もゼロではありません。その場合は、最終交渉の段階で買収価格を下げたり、M&Aが白紙になったりするケースもあります。
最終契約書は、合意に至った内容をまとめた法的拘束力を持つ文書ですので、記載された内容について厳守することが重要です。
クロージング
エグゼキューションの最後のプロセスとなるのがクロージングです。
クロージングとは、最終契約書に基づき、株式や事業などを譲渡する手続きを行います。
この時、買い手側の企業は、対価の支払いを行います。
クロージングにおける手続きは、どのストラクチャーを選択したかによって、手順や必要書類が大きく異なるものです。
漏れのないよう、十分に準備を整えて、慎重に進めなければなりません。
エグゼキューションを行う上での注意点
エグゼキューションを行う際には、どのような注意点があるのでしょうか。気をつけたいポイントは、下記の3つです。
- 売り手側・買い手側が納得できる条件を見出す
- スケジュール調整がポイント
- 専門家のサポートを受ける
ひとつずつ解説していきます。
売り手側・買い手側が納得できる条件を見出す
エグゼキューションを成功させるためには、どちらか一方にとってメリットが生まれる条件ではなく、売り手側・買い手側双方が納得できる条件を見出すことが大切です。
お互いが、M&Aにおける優先順位を提示し合い、許容範囲・譲れないポイントなどを設定しておくと良いでしょう。
双方が妥協点を決めておくことで、話し合いをスムーズに進めることができます。
スケジュール調整がポイント
M&Aには多くの手間と時間がかかります。
しかし、M&Aにかかりっきりになれるわけではなく、自社で行わなければならない業務も並行して進めていかなければなりません。
スケジュール調整がうまくいかなければ、M&Aだけでなく、通常業務にも支障をきたしてしまいます。
M&Aでは、予測が困難な事態が起こったり、思ったように話が進まなかったりするケースも。
余裕のあるスケジュール調整を行うことが、M&A成功への鍵となるでしょう。
専門家のサポートを受ける
M&Aは、企業の今後に大きな影響を与える重要なものです。
専門的な知識が必要となるプロセスも多いため、専門家のサポートを受けることが必要となります。
特に、エグゼキューションにおけるデューデリジェンスでは、専門家のアドバイスが必要不可欠です。
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まとめ|エグゼキューションはM&A成功への鍵となる
本記事では、エグゼキューションとはどのような意味なのか?オリジネーションとの違いやM&Aにおける重要性、流れや注意点について詳しく解説してきました。
エグゼキューションは、M&Aを成功へ導く重要なプロセスであることがわかりましたね。
専門家をうまく活用しながら、スムーズに進めていくための準備をすることが大切です。
エグゼキューションは、さまざまなフェーズに分かれているため、多くの時間を要することになります。余裕のあるスケジュール調整を行い、柔軟な対応ができるようにしておきましょう。
最後までお読みいただきありがとうございました。以上、参考になると幸いです。